Weekly Kumamoto-ZINE

熊本にいる私という存在について。

散歩・忍び寄る秋。

住んでいる、そして仕事の本拠としている場所は学生街と山の接点の辺り。

僕の好きな京都の銀閣寺のあたりとか、奈良の斑鳩のあたりに似た感じの風情がある町です。古人もそう感じたのか、このあたりを龍田(たつだ)と言い習わしてきました。

 

縄文弥生から人が住みなしてきたこの地域。見下ろす北側に横たわる低山は鬱蒼とした木々に覆われていたらしく。

その樹勢を旺盛な髪の毛になぞらえ古来「黒髪山」と呼んでいました。それを平安時代国司として赴任してきた清原元輔清少納言の父)が、このあたりが大和国(奈良)の立田山付近にそっくりなのを見て都を偲び「立田山」(たつたやま)と名付け変えたといいます。

 

加藤清正は熊本城下の鬼門にあたる山の中腹に豊臣廟を造営し、その麓には宮本武蔵を送った禅寺「泰勝寺」があり、細川氏も廟所を設けた静かな町。

剛毅(龍)と静寂(立田)が入り混じるいい感じの街。

 

九州のこんなところへ赴任してきて彼もびっくりしたことでしょう。

夏の蒸し暑さとか、冬の寒さとか。でも、奈良盆地もだいたいそんなもんなので、意外と共通点を探しやすかったのかもしれません。

当時は池辺寺や国府国分寺など意外と都風の建物もあったみたいですし。肥後は平安初期から九州唯一の「大国」として九州の中心を担っていましたから。

まあ、違うといえば夏の直射日光の無情な強さくらいでしょうか。

 

そんな熊本も9月の放生会・秋の馬追祭り(台風のため一部10月に延期)の頃から朝夕の気温が下がり、湿度も下がってきたようです。

 

昨日歩いていたら、近所の石垣に這わせてある蔦にも、そっと秋色が忍び寄ってきていました。

しばらく「蒸しアツッ」と「サムッ」を行きつ戻りつしたら、熊本らしい「シンと冷え込む冬」がやってきますね。

 

CANON 5D MarkⅢ + ZEISS PLANAR 1.4/50mm ZE